騒音性難聴になると4000Hzが聴こえにくい?症状、原因、治るかどうかを解説

騒音性難聴になると4000Hzが聴こえにくい?症状、原因、治るかどうかを解説

「騒音環境にいたせいで、音がよく聞こえない」

その症状、もしかしたら騒音性難聴かもしれません。騒音性難聴とは、長期間大きな音にさらされることで耳の細胞が損傷する症状です。

今回は、騒音性難聴の症状や原因を解説します。騒音性難聴の症状は改善するのか、騒音性難聴にならないための予防策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

なお、騒音性難聴の疑いのある方は本記事で完結せず、必ず医療機関・専門家に診断いただくことをおすすめします。

 

1. 騒音性難聴の種類

音響性聴器障害の分類

大きな音を聞くことによって耳の機能が劣化し、聞こえづらくなる病気のことを「音響性聴器障害」といいます。音響性聴器障害は、「急性音響性聴器障害」と「慢性音響性聴器障害」に分類されます。

急性音響性聴器障害」とは、大きな爆発音や大音量のライブ会場など、短時間に大きな音にさらされることで生じるタイプの難聴です。

一方「慢性音響性聴器障害」は、1日8時間、5年~15年以上大きな音を慢性的に聞き続けることでなりうる難聴を指します。これが「騒音性難聴」と呼ばれるものです。

参考:和田哲郎『騒音性難聴の最近の知見(疫学,基礎など)』2017

 

2. 騒音性難聴の主な症状

騒音性難聴の主な症状は、次のとおりです。

  • 両耳が聞こえにくくる
  • 高い音が聞き取りづらくなる

2-1. 両耳が聞こえにくくる

騒音性難聴の初期段階では発症しているという自覚はなく、日常生活にも支障のないケースがほとんどです。しかし、発症する多くの方に耳鳴りの症状があります。また、一般的に片耳だけでなく両耳が聞こえにくくなるのが騒音性難聴の特徴です。

2-2. 高い音が聞き取りづらくなる

主な騒音性難聴の特徴として「4000Hz」の聴力だけがガクッと下がります。4000Hzは鳥のさえずりやシンバルの音といった高い音です。YouTubeで「4000Hzの音テスト」という動画あるので、試しに聞こえるかどうかテストしてみてください。

少しでも聴こえ方に違和感があったり、コミュニケーションを取りづらいと感じたりしている場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

参考:和田哲郎『騒音性難聴の最近の知見(疫学,基礎など)』2017

 

3. 騒音性難聴になる原因

「慢性音響性聴器障害」(騒音性難聴)になる原因は、1日8時間、5年~15年以上大きな音を慢性的に聞き続けることです。多くの場合、騒音環境で作業する職業に就いていることが原因となります。例えば、騒音の多い工場や工事現場などの職場で長期間働くことで発症のリスクが高まるのです。

難聴は、騒音によって鼓膜に異常をきたしてしまい、音を正確に感知できなくなってしまうのが特徴。耳の奥にある蝸牛(かぎゅう)という部位に、有毛細胞と呼ばれる音を感じる細胞があります。継続的に大きな音を聞き続けることで、有毛細胞は大きなダメージを受けてしまい、音を聞き取りづらくなってしまうのです。

 

4. 騒音性難聴は治る?

急性音響性聴器障害と慢性音響性聴器障害では、回復するかどうか異なります。

4-1. 急性音響性聴器障害の場合

まず急性音響性聴器障害の場合は薬で治療できるケースがあります。神経を修復させる効果が期待できるビタミンB12製剤や循環改善剤、ステロイド剤などが有効です。治療期間はおよそ1〜2週間程度です。

参考:楓みみはなのどクリニック 院長/医学博士 中下陽介『急性音響性難聴』 

4-2. 慢性音響性聴器障害(騒音性難聴)の場合

長期間騒音にさらされることで発症する騒音性難聴は、現在の医療では治療が難しいと考えられています。耳の奥の蝸牛にある有毛細胞は、一度損傷してしまうといかなる治療をもってしても再生が困難とされているためです。

参考:和田哲郎『騒音性難聴の最近の知見(疫学,基礎など)』2017

 

5. 騒音性難聴にならないための予防法

騒音性難聴は、85db以上の騒音環境に1日8時間、5年~15年以上さらされた場合に、発症するリスクが高まると考えられています。そのため、そのような騒音環境にいる場合は、予防を考える必要があります。

厚生労働省が公開している『騒音障害防止のためのガイドライン』によると、騒音性難聴にならないためにできる予防法は、次のとおりです。

  • 適切な聴覚保護具を使用する
  • 定期健康診断を受ける
  • 騒音環境を改善する

5-1. 適切な聴覚保護具を使用する

聴覚保護具とはいわゆる「耳栓」や「イヤーマフ」のことです。『騒音障害防止のためのガイドライン』では、発砲タイプの耳栓や形成タイプの耳栓、イヤーマフが挙げられています。

日本産業規格(JIS)T8161-1に規定する試験方法により測定された遮音値を目安として、必要十分な遮音値の聴覚保護具を選定することが大事です。一方、労働環境で危険作業等がある場合は、安全確保のために周囲の音を聞いたり、会話をしたりする必要もあります。必要以上に遮音性が高い聴覚保護具は選定しないようにしましょう。

5-2. 定期健康診断を受ける

騒音環境にもよりますが、6月以内ごとに1回、定期的に医師による健康診断を受けることが推奨されています。その際、30dBの音圧での検査で異常が認められた場合や、医師が必要と認めた場合については、二次検査が行われることもあります。騒音性難聴は自覚しにくいため、診断を受けていなかった場合はすぐにでも受けることをおすすめします。

5-3. 騒音環境を改善する

可能であれば騒音環境の改善も大事です。85db以上の騒音を出す機械があるのであれば、音小さい機会に代替できないか検討してみましょう。難しい場合は、遮音性の高い物で囲って、音を抑える方法もあります。

 

まとめ

  • 騒音性難聴とは長期間大きな音に曝されることで耳の細胞が損傷する症状
  • 騒音性難聴の主な特徴として4000Hzの音が聴こえにくい
  • 急性音響性聴器障害は、薬で治る可能性がある
  • 慢性音響性聴器障害(騒音性難聴)は、現代の医療では治療が難しい
  • 騒音レベルの高い環境にいる場合は、騒音性難聴を予防する対策が必要

 

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