D値、T値、L値とは

【図解あり】防音レベルを表すD値、T値、L値とは?

自宅の防音対策をする際に、覚えておきたい3つの指標があります。

それが防音・遮音レベルを表す「D値」「T値」「L値」です。

それぞれどのような指標なのかを詳しく解説しましょう。

「D値」「T値」「L値」を知ると、防音製品の防音レベルがわかるので、どんな防音グッズを購入すればいいかが分かります。 

 

1.壁や建具の防音・遮音性能を表す「D値」とは

防音レベルD値

1つ目は「D値」。「D値」とは、壁や建具の防音・遮音性能を表す指標です。

話し声や楽器の音は空気伝播音と呼ばれ、空気中を伝わって私たちの耳に届きます。この音を「壁」や「建材」がどのくらい遮断するかを表すのが「D値」です。

なお、「D値」の「D」は「sound pressure level Difference」の略で、「差」や「違い」を表す「difference」の頭文字からきています。読み方は「ディーち」。他に「Dr値」(読み方:ディーアールち)と呼ぶこともありますが、同じ意味だと考えても大丈夫。「D値」は日本建築学会の基準、「Dr値」は日本工業規格(JIS)の基準です。

 

1-1.「D値」は大きいほど防音性が高い

「D値」は、大きいほど防音性能が高く、小さいほど防音性能が低いことを意味します。

音の大きさは、「db(デシベル)」という単位が使われていますが、db(デシベル)も同様、音が大きいとdb(デシベル)も大きい、音が小さいとdb(デシベル)も小さくなります。

「D値」と「db(デシベル)」はどのように関係するのか。実は「D値」の数値は、そのまま「db(デシベル)」をどれくらい防音できるかを表します。つまり、「50db」の音を聞こえないようにするには「D値が50」の防音性能の壁や建材が必要ということです。

 

防音レベルD値の目安

※ピアノの音の「90~110」デシベルから、防音レベル「D-65」の「65」を引くと、「30」デシベルになります。「30」デシベルはささやき声程度なので、十分に防音できている状態になります。


  

2.ドアやサッシの防音・遮音性能を表す「T値」とは

防音レベルT値

2つ目は「T値」。「T値」は、ドアやサッシの防音・遮音性能を表す指標です。

ドアを閉めたときに、音がどのくらい静かになるかを表すのが「T値」です。読み方は、「ティーち」。なお、「T」は日本工業規格(JIS)が基準を定めており、「T-1」「T-2」「T-3」「T-4」の4つの等級に分類しています。

 

2-1.「T値」は大きいほど防音性が高い

「T値」は数字が大きいほど防音性能が高く、逆に数字が小さいほど防音性能が低いです。

「T-1」「T-2」「T-3」「T-4」の「T値」の防音レベル別の目安は次の通りです。

防音レベルT値の目安

 

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3. 床の防音・遮音性能を表す「L値」とは

防音レベルL値とは

3つ目は「L値」。「L値」は、床の防音性能を表す数値です。

隣人の足音や掃除機の音、洗濯機の音は個体伝播音と呼ばれ、物体を伝わって私たちの耳に届きます。この個体伝播音を「床」がどのくらい遮断するかを表すのが「L値」です。

なお、「L値」の「L」は「floor impact sound Level」の略で、「レベル」や「等級」を表す「Level」の頭文字からきています。読み方は「エルち」。他に「L等級」(読み方:エルとうきゅう)とも呼ばれます。定めたのは、日本工業規格(JIS)。

 

3-1.「L値」は小さいほど防音性が高い

「L値」は数字が小さいほど防音性能が高く、逆に数字が大きいほど防音性能が低いです。「D値」と「T値」と逆なので、ご注意ください。

 

3-2.「L値」の防音レベルは床の条件によって異なる

「L値」は、コンクリートスラブと呼ばれる、フローリングの下地になるコンクリートの部分の厚みを150mmとして推定しています。よって、コンクリートスラブの厚みによって、「L値」は変わります。

 

3-3.「L値」はあくまで防音性能の推定値

日本工業規格(JIS)に基づく方法を使用して、実験室での測定データから実際の現場での防音・遮音性能を推定したのが「L値」です。また、防音・遮音性能の推定は特定の現場条件を想定しています。よって、「L値」はあくまで防音性能の推定値となります。

 

3-4. 「L値」は「LL」と「LH」の2種類

「L値」は、「LL」と「LH」の2種類があります。

「LL」は「軽量床衝撃音」のことで、イスやテーブルを引きずった時などの床の衝撃音の大きさです。最初の「L」は、「Light weight」の「L」です。

防音マット、防音カーペットは、「軽量床衝撃音」の防音対策を目的に開発されており、実際に軽量床衝撃音の防音対策に効果的です。

対して「LH」は「重量床衝撃音」のことで、子供が飛んだり、走り回ったり、跳ねたりしたときの床の衝撃音の大きさです。「Heavy weight」の「H」です。

日本建築学会のおいては、マンションなどでは「LL-45」の防音レベルの床が望ましい水準だと推奨しています。

防音レベルL値の目安

 

3-4.「L」と「ΔL」の違い

「L値」は別に「ΔL値」(読み方:デルタ エルち)という指標があります。

「ΔL値」は、財団法人日本建築総合試験所の「床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会」が、2008年(平成20年)に発表した「L値」に代わる新しい防音性能の表示方法です。

「L値」が空間での防音対策を推定して決められた基準であるのに対し、「ΔL値」は床材や防音商品が床の衝撃音をどれだけ抑えられるかという製品単体の防音性能を表すものです。

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まとめ

防音レベルD値、T値、L値の違い
  • 「D値」は壁や建具の防音・遮音性能を表し、「D値」が大きいほど防音性が高い
  • 「T値」はドアやサッシの防音・遮音性能を表し、「T値」が大きいほど防音性が高い
  • 「L値」は床の防音・遮音性能を表し、「L値」が小さいほど防音性が高い

 

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