遮音等級L値とは?ΔL値との違いや調べ方、理想の目安を解説

遮音等級L値とは?ΔL値との違いや調べ方、理想の目安を解説

床の防音対策をする上で絶対に知っておいていただきたい知識があります。それが床の遮音等級を表す「L値」です。

防音マットを選ぶ際によく見かける「L値」がどういうものなのか、この記事1本ですべてわかるように解説しましょう。

 

1. 床への衝撃音は2種類

床衝撃音の種類

「L値」について解説する前に知っておきたいことがございます。マンションやアパートでは、歩いたり、走ったり、飛んだり、物を落としたりすると、床を介して下の階に音が伝わります。こういった床への音は「床衝撃音」と呼ばれるのです。

さらに床衝撃音は「軽量床衝撃音」と「重量床衝撃音」の2種類があります。それぞれどのようなものか解説しましょう。

①軽量床衝撃音

軽量床衝撃音は、軽くて硬い物を落とした時に鳴る「コンコン」「キンキン」などの高い音です。

例えば、以下の音が軽量床衝撃音です。

  • スプーンやフォークなど食器を落とす音
  • 床でおもちゃで遊ぶ音

②重量床衝撃音

重量床衝撃音は、重くて柔らかい物を落とした時に鳴る「ドン」「ドスン」などの低い音です。

例えば、以下の音が重量床衝撃音です。

  • 歩いたり、走ったり、飛び跳ねたりする音
  • 家具を動かす音

 

2. 床の遮音性能を表す「L値」

軽量床衝撃音と重量床衝撃音、これらの床衝撃音をどれくらい防ぐかを表したのが床の遮音等級「L値」(読み方:エルち)です。「L等級」(読み方:エルとうきゅう)とも呼ばれます。

「L値」を理解するために抑えておきたいポイントは3つあります。

2-1.「L値」は小さいほど防音性が高い

のちほどご説明しますが、「L値」は「LL50」「LH30」などのように数字とセットで表されます。「L値」の隣にある数字は小さいほど防音性能が高く、逆に数字が大きいほど防音性能が低いです。

2-2.「L値」の防音レベルは床によって異なる

「L値」は、フローリングの下地になる「コンクリートスラブ」の部分の厚みを「150mm」と仮定しています。しかし、コンクリートスラブの厚みが100mmの建物もあるでしょう。この場合、150mmより薄い床になるため、「LL50」と推定されたフローリング材でも、実際に下の階で聞こえる音は少し大きくなるということです。

2-3.「L値」はあくまで防音性能の推定値である

日本工業規格(JIS)に基づく方法を使用して、実験室での測定データから実際の現場での遮音性能を推定したのが「L値」です。また、遮音性能の推定は特定の現場条件を想定しています。よって、「L値」はあくまで推定値となります。

 

3.「L値」と「ΔL値」の違い

「L値」とは別に「ΔL値」(読み方:デルタ エルち)という指標があります。

「ΔL値」は、財団法人日本建築総合試験所の「床材の床衝撃音低減性能の表現方法に関する検討委員会」が、2008年(平成20年)に発表した「L値」に代わる新しい防音性能の表示方法です。

「L値」と「ΔL値」の違いについて、「L値」が空間での防音対策を推定して決められた基準であるのに対し、「ΔL値」は、床材や防音商品が床の衝撃音をどれだけ抑えられるかという製品単体の防音性能を表すものです。

しかし、今でも「L値」の方が一般的に使わているため、この記事では、「L値」を基本に解説します。

 

4. 「L値」は「LL」と「LH」の2種類

「L値」は、「LL」と「LH」の2種類があります。

3-1. 軽量床衝撃音の遮音等級「LL」とは

「LL」は「軽量床衝撃音」への遮音性能を表した指標。後ろの「L」は、「Light weight」の「L」です。

「LL値」を測定する際は、JIS A 1418-1に規定された「タッピングマシン」(標準軽量衝撃源)を使用して測定しています。タッピングマシンは、子供の足音に似ています

 

3-2. 重量床衝撃音の遮音等級「LH」とは

「LH」は「重量床衝撃音」への遮音性能を表した指標。後ろの「H」は、「Heavy weight」の「H」です。

「LH値」を測定する際は、JIS A 1418-2に規定された「バングマシン」(標準重量衝撃源)を使用して測定しています。バングマシンは、タイヤ用いて床を衝撃加振し計測しています。

 

4. 床の防音レベルに理想のL値の目安

L値について理解が深まったところで次に気になるのは、自分の家の床がどのくらいの「L値」だったらいいのかという話です。

日本建築学会が提案する、遮音等級と音の聞こえ方との関係を表にしてまとめましたのでご覧ください。

日本建築学会が提案する遮音等級と音の聞こえ方との関係

表で見るのは、「1級」と「特級」の行です。 日本建築学会によると、軽量床衝撃音を防音する理想の遮音等級は「LL45以上」で、重量床衝撃音を防音する理想の遮音等級は「LH50以上」だということがおわかりいただけると思います。

これから新しい家に引越しをする、または購入するという方は、上記の基準で防音性能をチェックすることをおすすめします。

 

5. マンションの遮音等級「L値」の調べ方

最後、自分が住んでいるマンションのL値が気になる方も多いのではないでしょうか。コンクリートスラブの厚さや材質によって、遮音等級が異なるため、厳密な値にはなりませんが、自分が住んでいる建物の「構造」を見ればおおよその遮音等級を調べることができます。

やり方も簡単。契約した賃貸物件検索サイトを確認するか、賃貸契約書を確認すると建物の構造が確認できます

構造が分かれば次は下記の「建物の構造と遮音等級」の表をご覧ください。

建物の構造と遮音等級

表からも分かる通り、「木造」及び「鉄骨造」のマンションやアパートは、日本建築学会が推奨する「L値」の基準を満たしていません。鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で理想の防音性能となります。

あなたの家の建物構造はどれだったでしょうか?

もし基準を満たしていない場合は、防音マットでの床の防音対策をおすすめします。

 

まとめ

  • 床衝撃音は「軽量床衝撃音」と「重量床衝撃音」の2種類
  • 床衝撃音の遮音性能は「L値」で表す
  • 「軽量床衝撃音」の遮音性能は「LL」値を見る
  • 「重量床衝撃音」の遮音性能は「LH」値を見る
  • 自分が住んでいるマンションの遮音性能を知りたいときは構造を見てみる

 

防音マットでの床の防音対策が必要な方へ 

防音マットを選ぶ際にも「L値」を見るのが有効です。「L値」が記載されているものをまずおすすめします。また、マット単体で防音効果を発揮できるとなお良いでしょう。

MUTEの防音マットは遮音等級「LL35」(ΔLL-6)の防音マットです。日本建築学会が提案する理想の遮音等級から頭ひとつ抜けた性能です。「下の階にまず聞こえないレベル」の防音マットで、騒音トラブルに巻き込まれない生活をお楽しみください↓

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