建物の防音性能は、物件探しの重要ポイントによく挙げられる項目のひとつです。特にファミリー層では「子どもの声や足音が近所迷惑になるのではないか」と心配する人も多いでしょう。
そこで今回は、低・中層マンションの建築構造でよく耳にするRC造(鉄筋コンクリート造)の防音性能について解説します。
1.RC造(鉄筋コンクリート造)とは?
RC造(鉄筋コンクリート造)とは 、鉄筋とコンクリートを組み合わせた建築構造のことです。「RC」は「Reinforced Concrete(補強されたコンクリート)」の頭文字を略したもので、その名が示すとおり、骨組みとなる鉄筋のまわりにコンクリートを流し込んで固め、建物の骨格を形成します。
鉄筋とコンクリートは、それぞれに強みと弱みを持っています。RC造は、双方を組み合わせることで弱みを補い、強みを強化するもので、優れた住宅性能を兼ね備えることから、多くの低・中層マンションの建築で採用されています。
2. RC造の特徴
RC造の主な性能やメリットは、以下のとおりです。
- 優れた耐震・耐火・耐久性を有する
- デザインや設計の自由度が高い
- 熱や湿気がこもりやすい
2-1. 優れた耐震・耐火・耐久性を有する
鉄筋は「引力には強いが、圧力に弱い」特徴を持ちますが、コンクリートはその逆です。双方をかけ合わせたRC造は、引かれる力にも、圧される力にも強い高耐震構造を実現しています。また、別の角度から見ると、RC造は「熱に弱い鉄筋を不燃材であるコンクリートで包んでいる」状態です。これによって耐火性が高まるだけでなく、鉄筋のサビつきも防げるため、耐久性も上がります。
国税庁の「法定耐用年数表」によると、RC造は他の構造体よりも長い法廷耐用年数(本来の機能を維持できる年数 )が設定されており、耐久性の高さが分かります。
構造 | 耐用年数 |
木造 | 22年 |
鉄骨造 | 34年(重量) 19~27年(軽量) |
RC造 | 47年 |
SRC造 | 47年 |
参考:国税庁「法定耐用年数」
2-2. デザインや設計の自由度が高い
RC造のメリットといえば、建物のデザインや設計の自由度が高い点。RC造では、構造的な強度が確保できる範囲であれば、自由な空間設計や窓の配置などが可能です。例えば、曲線や斜線のような難しい形にも対応できるため、デザイン性の高い建物の建築にも向いています。
2-3. 熱や湿気がこもりやすい
さまざまな魅力があるRC造ですが、熱や湿気がこもりやすい点には注意が必要です。コンクリートの特性のひとつに「熱が伝わりにくい」というものがあります。要するに「温まりにくく、冷めにくい」わけですが、これは、鉄筋と一体化したところで解消できない弱みです。特に夏場には、日中の日照りによって蓄積された熱が夜になっても冷めず、室内の温度が下がりにくい傾向がみられます結果として冷房の稼働率が上がれば、光熱費アップにもつながってしまいます。
さらに、気密性が高く湿気がこもりやすいのも難点です。健康維持のために、意識的に除湿を行い、カビや結露の予防に努める必要があります。
3. RC造(鉄筋コンクリート造)の遮音等級
RC造について理解できたところで、気になるのは防音面です。防音性能は、音を遮る「遮音」と、音を吸収する「吸音」に大別されます。
遮音性能は物質の比重の大きさに比例するもので「単位あたりの重量が重いほど、遮音率が高い」とされています。コンクリートの原料である岩石は、重量があり、非常に密度が高い物質です。RC造は遮音率の高い物質でできたコンクリートを流し込んで造られるため、隙間ができにくく、さらに高密度で遮音性能が高まった構造だといえます。
では、その実力は一体どれほどのものでしょうか。建物の防音性能を知る基準として参考にしたいのは、D値とL値の2つです。D値は壁の遮音性能を、L値は床の衝撃音性能を表します。
以下は、遮音性能の目安です。
【D値】
【L値】
一般的なRC造のD値はD-50程度、L値はL-50程度です。日本建築学会の指針によると、楽器の演奏や物の落下には注意が必要なものの、日常的な会話や動作については特段の心配はないとされている環境であり、十分な遮音性能を持つ住まいだと判断できます。
ただし、音に対する感覚は個人差も大きい上、時間帯や状況によっても変化するものです。例えば、自分は静かに歩いているつもりでも、階下の人が眠りにつく瞬間だった場合には、必要以上に気になってしまうかもしれません。
4.他の構造との防音性能の比較
建物の構造 には、RC造以外にもさまざまな種類が存在します。なかでも日本でよく見られるのは、以下のようなものです。
- 木造
- S造(軽量鉄骨プレハブ造、もしくは重量鉄骨造)
- SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)
これらの構造について、音の聞こえ方をまとめてみました。
参考:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」(技報堂出版)
表を見ると、RC造は、大人だけの世帯であれば気兼ねなく生活できそうです。ただし、たとえRC造であっても、物件によっては防音性能に不安が生じるケースもあります。それは、構造部分は鉄筋コンクリートで造られていても、隣家との間にある壁に吸音材を組み合わせた材料(石膏ボードとグラスウールなど)から造られたものが採用されているような場合です。
壁にしっかりとした厚みがあり、たたくと低くつまったような音がする場合には、高密度、すなわちコンクリートが入っていると推測できます。反対に、壁が薄く、たたくと軽く高い音がするようであれば、低密度の吸音材かもしれません。
これから内見に行く場合には、ぜひ試してください。
まとめ
- RC造とは、鉄筋とコンクリートを組み合わせた建築構造のこと
- RC造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせることで互いの弱みを補い、強みを強化している
- RC造は耐震性や耐火性、耐久性に優れ、デザインや設計の建築自由度が高いのが魅力だが、熱や湿気がこもりやすいのが難点
- 一般的なRC造のD値はD-50程度、L値はL-50程度で、十分な防音性能を備える建物だといえる
- RC造の物件によっては防音性能に不安が生じるケースも
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