ALC造の建物の防音性能とは?

ALC造の建物の防音性能とは?

部屋探しをしていると、「ALC造」という言葉を目にすることがあるかもしれません。どのような建物なのか、また、どれほどの防音性能があるのかと疑問を抱いている方もいるでしょう。

そこで今回は、ALC造とはどのようなものか、その防音性能や他の構造との比較について解説します。ぜひ参考にしてください。

 

1.ALC造とは?

ALC造

最初に理解しておきたいのは、ALC造は、厳密にいうと「RC造(鉄筋コンクリート造)」や「SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)」のように建物の構造を表す用語ではないということです。

そもそもALCとは、英語の「Autoclaved Lightweight Concrete」 の頭文字を取った略語で、高温・高圧蒸気によって養生された軽量気泡コンクリートを指す用語です。そして、そのALCを板状に成形したものはALCパネルと呼ばれ、現代建築に欠かせない建材として地位を確立しています。

つまり、一般的にALC造と呼ばれている建物は「ALCパネルを用いた建物」のことです。構造自体は主にS造(鉄骨造)やRC造であることが多いようですが、他の構造で使えないわけではなく、木造建築で使われているケースも見られます。

いずれにしても、ALCは外壁材や床材、間仕切り壁として用いられる建材名であり、建物の構造を表す用語ではないという点が理解できれば、物件情報も見やすくなるはずです。

1-1. ALCの特徴

続いて、ALCの特徴に注目してみましょう。

ALCの主原料は、珪石やセメント、生石灰、発泡剤のアルミ粉末などです。これらを高温高圧蒸気養生という独自の製法を用いて結晶化すると、ALCが生成されます。

ALCの最も大きな特徴といえるのは、「気泡が入っている」点です。通常のコンクリートは空気を可能な限り抜くことで強度を確保するのに対して、ALCは原料を高温で熱して発泡させることで、あえて気泡を含ませます。

気泡の入ったALCのメリットは、通常のコンクリートの約10倍ともいわれる優れた断熱性能です。無数に広がる細かい気泡が空気の層となって熱の伝達を防ぐことで、夏は涼しく、冬は暖かい快適な空間を形成します。

また、ALCの主原料は、不燃材料です。もともとの燃えにくさに加えて、空気の層を持つため、発火しにくく燃え広がりにくい、住宅密集地向けの建材としても知られています。

上記以外にも、建物の軽量化が図れる、地盤への負担を軽減できるなど多数のメリットがあることから、居住用住宅に留まらず、高層ビルにも利用されている建材です。

1-2.ALC造とRC造の違い

ALC造とRC造の違い

RC造とは、英語の「Reinforced Concrete」の頭文字を取った略語で、鉄筋コンクリート造とも呼ばれます。柱や梁などが鉄筋とコンクリートで造られる建物の構造を指す用語です。

コンクリートを用いる点で共通するALC造とRC造ですが、以下のような違いが見られます。

  ALC造 RC造
構造/工法 骨組み(S造やRC造)×ALCパネル 鉄筋コンクリート造
厚み 35~75mm 150~200mm
向いている建築物 小規模住宅(個人住宅・アパート) 中・大規模集合住宅
価格 比較的安い 高い
工期 比較的短期  長期

 

RC造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせることで、双方の弱みを補い、強みを増長する構造です。引力に強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートが補強し合い、高強度を実現しています。

一方のALC造は、気泡が含まれている上にパネルとして使用されるため、高い強度が必要な建築物には向きません。それぞれの特徴を確認した上で、適切な使い分けがなされています。

 

2. ALC造の遮音等級

ALC造の遮音性

建築物の防音性能は、暮らしの快適度を左右する重要な要素です。特にファミリー層や集合住宅を検討している方たちにとっては、欠かせないチェックポイントでしょう。

繰り返しになりますが、ALCは気泡を含むことで通常のコンクリートとは一線を画す存在です。ALCパネル内に形成される空気の層は、熱だけでなく、音の出入りも遮ります。

実はALCパネルは、防音壁として採用されることもあるほど遮音性の高い建材です。日本建築学会の発表によると、ALC造の防音性は軽量鉄骨造と重量鉄骨造との間に位置する程度とされています(参考:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」)。

現在、日本国内でALCパネルを製造している企業は3社です。各社それぞれJIS規格に準拠して製造していますが、パネルの厚さは必ずしも同一ではありません。

外壁にALCパネルを使った場合、その厚さが防音性能の度合いを左右する大きな要因となります。さらに、1枚貼りか、2枚貼りかによっても効果は変わるため、物件ごとに自分の耳で確かめるのが確実です。

壁を叩いてみたときに、鈍く重い音がすればパネルが分厚い可能性が大きいため、高い防音性能が期待できるでしょう。反対に、軽くて高い音がした場合にはあまり遮音は望めないと考えられます。

 

3.他の構造との防音性能の比較

日本でよく採用されている建物の構造には、以下のようなものがあります。

  • 木造
  • S造(軽量鉄骨造・重量鉄骨造)
  • RC造(鉄筋コンクリート造)
  • SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

上記のうち、ALC造パネルが用いられることが多いのは、S造とRC造です。そのうちS造は、使われる鉄骨の厚さによってさらに軽量鉄骨造と重量鉄骨造に分けられます。

日本建築学会が指針として示している建物の構造・工法別の音の聞こえ方は、以下のとおりです。

 建物構造 音の聞こえ方
SRC造 防音性が高く、外からの音はほぼ軽減される
RC造 子どもの泣き声や走り回る音は聞こえる
重量鉄骨造 足音やドアの開閉音といった振動を伴う音は聞こえる
ALC造 足音やドアの開閉音や振動を伴う音は聞こえるが、普通の軽量鉄骨よりは軽減される
軽量鉄骨造 多少音量が軽減されるものの、生活音はほとんど聞こえる
木造 隣室の生活音がかなり聞こえる

 参考:日本建築学会「建築物の遮音性能基準と設計指針」(技報堂出版)

ベニア板や石膏ボードを用いた一般的な軽量鉄骨造は、ALCパネルより厚みがないため、やや防音性が劣るとされています。防音性を重視するのであれば、生活に欠かせない音は遮れるだけの性能を持つRC造か、非常に優れた防音性を持つSRC造の2つが有力な選択肢となるでしょう。

一方、ALCパネルと組み合わされた軽量鉄骨造も、あまり防音性が高いとはいえません。あてはまる場合は建物の構造以外での防音対策も取り入れておく必要があるでしょう。

 

4. ALC造のマンションに住む注意点

ALC造や鉄骨造のような、防音性が高いとは言えないマンションに住む場合、注意しないといけないことがあります。それが騒音トラブルです。

3-1. 日本建築学会の推奨は遮音等級「L-40」以上

ショックな事実ですが、日本建築学会によると、集合住宅は遮音等級「L-40」以上が望ましい水準とされています。つまり、ALC造の遮音性は、「L-65」と「L-60」の間。つまり、望ましい防音水準に達していないのです。主要な構造で、水準を満たしているのは「SRC造」のみ。よって、ALC造にお住まいの場合は「防音対策」することをおすすめします。

3-2. マンショントラブルの1位は騒音トラブル

マンションの騒音トラブルの内容

参考:株式会社ジャストイット 分譲マンショントラブルに関する調査

株式会社ジャストイットのアンケートによると、マンショントラブルの1位は、騒音トラブルでした。また、騒音トラブルの中で最も多かった悩みは「子どもの足音が聞こえる」、次は「物音がする」でした

このデータから、マンションやアパートなどでは騒音トラブルにならないために、「床の防音対策」が必要だといえるでしょう。もし小さなお子様がいて、下の階への防音対策をしたい場合は、MUTEの防音マット「防音専科」がおすすめです。防音専科は、マット単体でSRC造の物件の遮音等級を超える「LL-35」(ΔLL-6)の防音マットです。最大82%の騒音をカットし、椅子の移動音や物の落下音をほとんど聞こえにくいレベルに落とします。ALC造の防音性の低さをカバーする防音マットです。

 

まとめ

  • ALC造は、厳密にいうと建物の構造を表す用語ではない
  • 一般的にALC造と呼ばれている建物は、ALCを板状に加工したALCパネルを用いた建物のこと
  • ALCパネルは、主にS造やRC造と組み合わされる
  • ALC造の建物の遮音性は「L-65」と「L-60」の間
  • ALC造の防音性をカバーするために防音マットがおすすめ

 

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